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2011年1月13日 (木)

「かあちゃんな、わいを迎えに来てくれるんやで」養護施設やっちゃん

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やっちゃんという小1の男の子がいました。やっちゃんは、逆さまつ毛があって、太陽を浴びるとまぶしくて、人一倍目をパチクリさせたり、普段も目をかゆがったりしていました。

それでもやっちゃんは、いつも元気いっぱいに身体を動かし、いたずらをしては叱られてばかりいるやんちゃ坊主でした。

木枯らしが窓ガラスのすき間から入り込んでくる、冬の寒~い日のこと。やっちゃんは風邪を引いてお風呂に入れず、一人で身体を丸めて部屋にただ一つだけ置いてある火鉢に手をかざし暖めていました。

ちょうどその時、やっちゃんの部屋の前を通り過ぎようとしていた私。

「やっちゃん、どうしたの?」「わい(ぼく)な、風邪引いてな、風呂に入れないねん」「そう~。じゃ、誰もいないから先生が抱っこしてあげようか?」「うん」思いもがけず素直にうなづいたやっちゃん。

「せんせ。」「な~に」「あんな、わいの母ちゃんな。ここへ来んけどな。一生懸命働いているんや。そしてな。母ちゃん、わいを迎えにきてくれるんやで。わいな。楽しみにしてるんや~」

ドキっとしました。その時、私は「こんなに可愛い子を手放して、お母さんは何してるの!」と考えていたから。幼いやっちゃんに、私の心を見透かされてしまったような気がしたから。ドキっとしたのです。

やっちゃんを抱っこして子守唄を歌ってあげていると、やっちゃんは具合も悪かったせいか、そのうち眠ってしまいました。

なんだか自然に涙がこみあげてきました。

涙が流れないように天井を見つめて、やっちゃんの顔に目をやると・・・。

眠っているはずのやっちゃんの閉じた目から涙がツーッとほっぺを伝わって流れました。

やっちゃんの両親は行方知れずで、施設に一度も逢いに来たことがないと聞いていました。そんな親を信じて、一途に待ち続けているやっちゃん。

それまでの私は、施設の子ども達の親を恨んで、批判していました。「どうして、自分の子どもを捨てられるのか」と。

でも、やっちゃんの涙をみて、「どうしても一緒に暮らせない深い事情があったのだ。親が子どもを捨てるわけがない」と思いました。

人の考えって、ほんの小さな出来事によったり、ほんの短い時間に変わることもある。

血気盛んで未熟な私に、実感させてくれたやっちゃんとのふれ合いの時でした。

あ~。どうして、こんなにも鮮明にあの時のことが思い浮かぶのでしょう。胸がつまります~。

やっちゃん。今、何処でどのように暮らしているのでしょうか。

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